皆様の周囲には “どうにかしなければならないお悩みの現場” はありますか?
自分で対処できない規模ともなれば、業者に防水工事の見積もりを依頼することが多いですよね。
ところで防水工事って、具体的にどういうことをするのでしょうか?
『 たとえばこんな、防水工事シリーズ 』では、数ある漏水補修・防水工事の実績から特徴的なものをピックアップし、
各工程と施工のポイントをブログ形式で紹介していきます。
業者への依頼や見積もりの比較に悩んでいる方々にとって充実した内容となっておりますので、ぜひご覧ください。
今回は、プール缶体に防水工事を施していきます。
beforeからafterになるまでの工程をなぞっていくことで、防水工事がどのように行われているのかが見えてくるはず!
子ども園の小さなプール缶体。
子ども達が元気に走り回っている園内の傍に、老朽化の片鱗が垣間見えるプールがありました。まずは現場の形から見ていきましょう。(↓クリックすると拡大します。)
この現場で防水工事をする目的は、水被害に侵されたプール缶体と周囲の空間設備を、
夏のプール開きに向けて新しくリニューアルすること。
そこで躯体のどこか悪くなっているのか、防水の種類はどれが適切か、念密な現地調査による現場の分析を完了させたのち、施工手順を組んでいきます。
施工の手順
- 洗浄作業 └プール缶体全体を高圧洗浄機で洗浄します。
- 塗装作業 └鉄部や側溝に防水機能のある塗料を塗ります。
- 防水シートの撤去 └既存の防水シートを全て撤去します。
- 防水シートの取り付け └新しい防水シートを取り付けていきます。
①FLステンレス銅板(固定金具)
②アルミテープ
③塩化ビニール樹脂のプールシート
④YKプールシート防滑性シート
⑤シーリング
今回の防水工事の種類は 「塩化ビニールシートを使用し、機械的工程工法」 です。プール缶体の防水シートを新しいものに貼り替えていきます。
施工手順通りに、プールのシートを貼り替えて、子ども達が夏に思いきり楽しめるような場所にしてあげましょう!
まずは汚れの除去から始めていきます。
高圧洗浄機を用いて、目に見えない古い塗膜から明らかな土汚れまで洗い落としていきます。
排水口の蓋まで念入りに洗いながら、現場の環境を綺麗に整えています。
洗浄作業を怠ることによって
防水層の密着不調や塗膜の膨らみが発生してしまうこともある
ので、抜かりなく作業を進めていきましょう。
まずは、プール缶体を囲う周辺設備を調査します。すると、 塗膜剥離による鉄部の露出や、長年水を浴び続けた事情による錆び が見つかりました。
そこで防水剤を混ぜた塗料を使用し、塗布面の見た目を整えつつ、水に耐性を持つ強い塗膜を作っていきます。
あれ?防水シートを貼り替える工事なのに塗装作業もするの?
はい!本施工の要は防水シートの貼り替えですが、プール設備全体の修繕工事も請け負っているため、まずはこちらの作業から完了させていきます。
文字通り、旧防水シートを除く全ての箇所を修繕及び塗装しました。
ここから防水シートの施工に取り掛かります。古いシートはどんどん撤去していきましょう。
モノとモノの交差面はビスが密集しており、接着面の力が強い為、非常に剥がしにくくなっています。そこで、様々な道具を用いてシートを取り除いていきます。
防水シートの撤去が一通り完了しました。最後に、躯体に打ちこまれているビスを切り落とし、プール缶体の各面を真っ平にしていきます。
半日で防水シート全体の4割を剥がし終わりました。
①FLステンレス銅板(固定金具)
初めに、防水シートを固定するための専用の銅板を取り付けていきます。シートが仕様書の通りに接着できるよう、予め銅板の形や向きを加工する必要があります。
銅板の加工が済んだので、躯体と固定していきます。
銅板と銅板の隙間は、一定の間隔を空けておくよう工事の標準仕様書で定められています。 これは、 板の上に大きな衝撃がかかった際、銅板同士が衝突し合って破損を起こさないようにするための工夫なのです。
②アルミテープ
銅板(固定金具)のジョイント部分にアルミテープを貼っていきます。 これは一体、何のための作業なのでしょうか?
ついさっき、わざと隙間を開けるのが大切だって言ったばかりなのに、どうして塞いでしまうの?
まあまあ。これは銅板の上にシートを貼り付けた際に、段差が生まれないよう、表面部の凹凸をなだらかにするための大切な工程なんです。
つまり…調整作業みたいなもの?
その通り!このような 小さな工程を丁寧に進められるかどうかが後々のクオリティ(耐久性や防水性)に繋がっていきます。
③塩化ビニール樹脂のプールシートの貼りつけ
プールシートを銅板の上に貼りつけていきます。手段として ①接着剤で貼りつける方法 と ②プールシートを溶かして融着させる方法 を組み合わせていきます。
①接着剤で貼りつける方法
貼りつける面と貼りつけられる面の隙間を埋めるようハケを滑らせながら接着剤を塗布していきます。主に平らな面を接着していく方法です。
②プールシートを溶かして融着させる方法
高温度の熱風機を用いてプールシートを柔らかく加工します。さらにシート同士の隙間に熱風を流しこむことで相互間を融着させる事ができます。
シートが溶け合い、接着されている様子が分かります。
吹きつけ過ぎるとこのように焦げしてまうので、 経験による感覚操作が大切になってくる 難しい作業です。
融着後の作業に戻ります。
プールシートの貼りつけ完了
④YKプールシート防滑性シート
次は防滑性シートの施工を行います。プール缶体内の段差の上面に貼り付けることで、子どもたちがプール内で滑って転ばない為の大切な役割を果たします。
⑤YKグリップシート_プールサイド
立上りの部分にも滑り止めの役割を担うグリップシートを貼りつけていきます。
⑥シーリング
最後に、シーリング工事を施して施工完了です。
少数精鋭の職人の方々と1ヶ月半の施工期間を経て、 彩り鮮やかな新しいプール缶体へと進化しました!
子ども達から「プールの色が変わってる〜!」という嬉しそうな感想をもらえたのが何よりの喜びです!
診断からお見積もりまで無料で実施致します!
なお、対応エリアは以下の通りです。
この記事を書いた人 山陽工業 よーこちゃん
・山陽工業に入社して1年目の広報社員。
・たくさんの現場を巡って、日々様々な知識と写真を集めています。
・施工管理に長けた工事監督さん、この道何十年の熟練職人さんの方々に取材を行い、建物の修繕・改修に関する情報を発信していきます。