丈夫で長持ちするコンクリートですが、実は年数を重ねるごとに劣化しています。そこで気になるのが、劣化する原因や対策の方法ですよね。
この記事では、そんなコンクリートの劣化原因と修繕方法について詳しく解説いたします。
一般的な修繕方法に加え、修繕だけでなく内部の補強までできるIPH工法についてもご紹介しております。
【この記事はこんな方におすすめ!】
普通の修繕方法では心配・物足りない。
内部まで劣化が進行していているが、壊さずに補強したい…
IPH工法ってなんだろう?興味がある!
上記のようなお悩みを抱えている建設会社様・建築士様、ぜひご一読ください!
まずは、コンクリートが劣化する原因について解説していきます。
コンクリートはセメントで固められた、砂・砂利・水の塊です。水と反応することで硬化する、水硬性セメントが使用されていることが多く、コンクリートは強アルカリ性です。
そんなコンクリートの劣化を引き起こしているのは、主に空気と水です。
それらが染みていくことにより、コンクリートの成分が中性化されて中の鉄筋が錆びてしまうことが、コンクリートの劣化やひび割れを引き起こす主な原因とされています。
コンクリートが老朽化するまでの年数は、およそ60年とされています。気象条件やコンクリートに使われる材料などによっても異なりますが、なにも処置をしない状態でコンクリートが中性化してしまうまでが、約60年です。
先ほどもお伝えした通り、コンクリートの劣化は空気や水が影響するため、塗装やタイルがあるとコンクリート自体に空気や水が当たりにくく、劣化の進行が遅れるケースもあります。
劣化したコンクリートを放置すると、どのような影響が出るのでしょうか?
わかりやすくイメージをお伝えすると、コンクリートは人間の歯と同じようなものです。
例えば虫歯を見つけた際、早期発見できれば歯を少し削るだけで治療ができますが、神経まで虫歯が進行していると、その処置は難しくなってしまいます。
コンクリートも同様で、早い段階で傷みや劣化を発見できれば、修繕方法はシンプルです。
しかし、歯でいうところの神経…つまり躯体まで劣化が進行してしまうと、最悪建物自体を壊す必要が出てくる可能性もあります。
素人目で見てひび割れや劣化がわかる状態になってしまっていると、それはもう「劣化の初期症状」とは言えません。
大半の建物は、見た目がきれいでも15年経った頃には何かしらの劣化症状が出てくる頃合いと言えます。
歯が痛くなる前に定期健診に行くのと同じように、定期的にプロに調査を依頼することが建物を守る手段として有効です。
では、既に劣化が進行してしまっている場合、どのような修繕工事を施せばよいのでしょうか?
劣化してしまったコンクリートの修繕方法(コンクリートのひび割れがある場合)は、次の3種類が主流です。
それぞれの修繕方法について、詳しく見ていきましょう。
ひび割れ幅が0.2mm以下の修繕方法です。
粒が細かく、サラサラしている材料をひび割れている部分に塗って、雨水などが浸入しないように処置していきます。
ひび割れ幅が0.2mm~1.0mmの修繕方法です。
このときに注入するのは、セメント成分ではなく樹脂を使用します。
ひび割れ幅が1.0mm以上の修繕方法です。
傷んでいる部分を削って、そこを修繕します。虫歯を削って治療するようなイメージです。
先程ご紹介した従来の修繕方法は、雨水が入らないような処置をするものです。人間の歯で例えると、糖分などが入らないように歯の表面をコーティングするような方法でしょう。
しかし、そういった方法は表面のひび割れは修繕できても、内部のケアができていないのが現状です。
一方IPH工法は、経年劣化などにより傷んだコンクリートの強度回復を行える技術です。
経年劣化により、スカスカになってしまったコンクリートの内部に樹脂を注入することで、表面はもちろん、鉄筋の周りや隙間までケアできるのが特徴です。
また、これにより鉄筋の防錆効果も期待できます。
IPH工法は樹脂を注入する際に、コンクリート内部の空気を抜き取ることができます。そのため、ご紹介した基本的な修繕方法の「注入する」では入り込むことのできないような、0.01mm程の微細なひび割れにまで樹脂を注入することが可能なのです。
だから内部までしっかりケアができるんだね!
先ほど紹介した基本的な修繕方法は、表面のケアのみを行うもののため、時間が経つとまた同じところにひび割れが生じてしまう可能性があります。
しかし、IPH工法は表面だけではなく内部まで接合できるため、再劣化しにくく強度も上がります。これがIPH工法最大のメリットです。
【IPH工法のメリットまとめ!】
内部までしっかり補強、強度が上がり長寿命化が可能!
微細な空隙まで樹脂が入り込むため、止水効果を発揮!
更に鉄筋沿いの空隙にも樹脂が廻るので、防錆効果が高まる!
ただし、すべての箇所をIPH工法で修繕する必要はありません。
前歯と奥歯で治療方法が異なるように、「ここはIPH工法が適している」、「ここは塗りものを塗るのが適している」と、場所や状態によって最適な方法で修繕を行うのがよいでしょう。
尚、山陽工業にご相談いただいた際は、現地を確認の上、最適な修繕方法をご提案いたしますので、ご安心ください。
次の項目では、IPH工法で壁を修繕した実際の写真と共に、工事の流れをご紹介します。
コンクリートが大きくひび割れているのがわかります。
カワスキや電気工具を用いて、汚れやサビ・既存塗膜を除去する作業です。
注入箇所をマーキングし、穿孔と呼ばれる穴あけ作業を行います。穿孔した部分に台座を取り付けたら、樹脂を注入します。
樹脂の注入が完了したら台座を撤去し、ケレンで再度表面を整えます。その後、ブロアー清掃などの清掃作業が済んだら施工完了です。尚、今回の施工では最後に左官仕上げを行いました。
樹脂を注入するまでの流れは、前述の外壁と同様です。
内壁の場合、樹脂を注入しカプセルを撤去し終えたら、表面を成形するためパテ補修を行います。写真の工事では更に上塗りも行い、表面もとてもきれいになりました!
*300,000円+税~(塗装・パテ補修は別途)
今回ご紹介した施工写真の範囲での参考価格となります。
施工の範囲や現場の状況により金額は前後いたします。
山陽工業では、様々な規模・用途の建物のコンクリートを、IPH工法によって修繕してまいりました。
ここでは、IPH工法の施工事例の一部を、詳しくまとめたブログ記事のリンクと併せてご紹介します。
とある戸建ての掘込車庫(コンクリート造)の天井や壁から雨漏りが発生しており、次第に水染みが大きくなってきた…とお困りのお客様からご相談を受け、一度でしっかりとひび割れを修繕するためにIPH工法を採用しました。
エレベーターピットで雨漏りが発生し、考えられる原因箇所を内側まで全て修繕するべく、IPH工法による修繕工事を行いました。
マンションを長寿命化して安全性を長く保ちたいというオーナー様のご要望で、コンクリート打ちっぱなし・タイル貼りの外壁をIPH工法で修繕しました。
※『2.建物のための特殊工法』内の『(1)建物の下地を補修 「IPH工法」』に詳しく記載しています。
通常の修繕方法(先述した『削って埋める』方法)でエフロレッセンスを修繕した箇所から、工事後半年でエフロレッセンスが再発してしまったマンション。微細なひび割れまでしっかり埋めてエフロレッセンスの再発を防ぐため、IPH工法による修繕を行いました。
何度工事をしても雨漏りを繰り返していた体育館の天井を、雨漏りの修繕+壊さずに長寿命化するために、IPH工法を採用しました。
コンクリートの修繕と一言で言っても、劣化の状態や部位・ご予算等によって、最適な修繕方法は変わってきます。
コンクリート診断士の有資格者が在籍する山陽工業では、プロの目で診断し、ご予算などのご要望を伺った上で、最適な修繕方法をご提案させていただきます!
また、IPH工法についてもっと詳しく知りたいという方は、詳しい資料の送付や、ご説明に伺うことも可能です。
官公庁の建物への工事実績や、IPH工法施工技能士が在籍する山陽工業へ、お気軽にご相談ください!
なお、対応エリアは以下の通りです。
こちらのページにもIPH工法について詳しい説明が載っております。ぜひあわせてご覧ください。
この記事を書いた人 山陽工業 みほ
・2015年に山陽工業の管理部として入社
・事務職として建設業の書類作成を極めていましたが、お客様により喜んでいただけるようなご提案ができるよう、現在工事内容についても勉強中!
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