この記事でわかること
・FRP防水の特徴
・FRP防水のメリット・デメリット
・FRP防水の耐用年数
・FRP防水の施工方法
ベランダやバルコニーの防水層の劣化は見落としがちな上に目立つ場所ではないため、メンテナンスを怠ってしまっている方もいらっしゃるのではないでしょうか?
ベランダやバルコニーは住まいの中でも常に紫外線や風雨にさらされている上に洗濯を干す際など歩行量も多いため、非常に劣化がしやすい場所です。
劣化を放置すると、最悪の場合雨漏りにまで繋がってしまうことがあります。
そんなとき、ベランダ・バルコニーに特におすすめな防水方法が「FRP防水」です。
なぜ、ベランダやバルコニーにはFRP防水がおすすめなのでしょうか?
防水・塗装工事の専門家である山陽工業が詳しく解説します!
ご自宅の防水層に不安のある方は是非ご一読ください!
そもそもFRPとは?
Fiber(繊維) Reinforced(強化) Plastics(プラスチック)の略で、その名の通り、繊維強化プラスチックのことを指します。
ガラス繊維・炭素繊維などを混ぜることで耐久性を強化したプラスチックです。
風呂の浴槽・車・船・ロケット・人工衛星の素材などにも使用される程、軽い上に頑丈で優れた素材です。
では、FRP防水とは?
FRPをシート状にしたものに樹脂を塗って硬化させる防水工法です。硬化後は、プラスチックのような固い床面が出来上がり、耐久性・耐熱性・耐摩耗性に優れます。
01 防水性が高い
FRPは、建築物よりもはるかに防水性能が必要な風呂の浴槽や船・プールにも使用する程防水性に優れた素材です。そのFRP素材で、継ぎ目のない一体化した防水層を作るため水の侵入もなく、 他の工法と比べてもトップクラスの防水性を持っています。
02 高耐久で剥がれにくい
FRP防水は、衝撃や摩擦に強いため剥がれにくい防水工法です。施工後は、非常に固く丈夫な床面が形成されるため、歩行量の多い場所への施工も安心です。
03 工期が短い
FRP防水は、塗膜の乾燥を待つ時間が短いため工期が短く済むという特徴があります。使用頻度の高い床面への施工も安心です。
01 施工時に臭いが出る
FRP防水は、ガラスマットを樹脂で硬化させる工程の際に独特の刺激臭が発生してしまいます。屋上での施工の場合は気になりませんが、ベランダやバルコニーでの施工中は窓を閉め切るなどの工夫が必要です。
※乾燥後は臭いがなくなります!
FRP防水は、強度が非常に高いため歩行量の多いベランダやバルコニーに特に適しています。
また、この防水層の強靭さは車両の走行にも耐える事ができることから、大型ショッピングモールなどの屋上駐車場にも採用されています。
FRP防水の耐用年数:10~20年前後
耐用年数は、建物の日当たりなどの環境・施工場所の広さ・歩行頻度などにより変動がありますが、多くの場合FRP防水はこの年数で寿命が来ると言われています。
FRP防水の劣化が始まると、徐々にひび割れが入りはじめます。このひび割れ症状を放置してしまうと雨水などが入り込む原因になり、雨漏りに繋がってしまいます。
どの防水工法でも、外で風雨や紫外線に常にさらされている防水層の劣化は、避けて通れない道です…
FRP防水のメンテナンス:5~10年前後
この劣化症状からの雨漏りを防ぐために、FRP防水の表層を保護している「トップコート」を塗り替えてメンテナンスをすることで寿命を延ばすことができます。
※トップコートの塗り替え頻度も、その床面の環境や歩行頻度によって変動します。
また、防水層の劣化症状が内部まで達する前にきちんとメンテナンスを行っておくことで、防水工事の費用を抑えることにも繋がります。
施工してから時間が経ったけど、メンテナンスの時期かどうか・最適な補修方法を知りたい…などのお悩みがあれば、専門家に相談することをおすすめします!
(③~⑤は現場の劣化状況などにより回数に変動があります。)
一般的には上記の工程でFRP防水が行われます。
次の項目から、山陽工業が実際に行ったFRP防水工事の様子と共に工程をご紹介します!
今回FRP防水を行うのは、とある一軒家のバルコニーです。既存でゴムシートが貼られています。
現状の劣化状況を一緒に見ていきましょう!
②シートの接続部を繋いでいたシーリング材が断裂し、接続部に隙間
③ドレン周りのシートが捲れ、下地とシートの間に大きく隙間
の大きく分け3つの劣化症状が発生してしまっています。
ドレンの下に位置している部屋の天井は既に雨漏りが発生してしまい、壁紙が黒ずんでしまっています。
このまま放置すると、最悪の場合壁が腐食することにより穴が開いてしまうこともあります。
少しでも劣化症状に見覚えのある方!雨漏りに繋がる前の防水工事をおすすめします!
まず、既存で貼られていたゴムシートを撤去します。
その後ケレン作業です。下地を平らに整えることで、この後塗る塗料を下地に密着しやすくする下準備の役割があります。
床面にこびり付いていた、汚れや古い塗膜が落ちて凹凸がなくなりました!
プライマーを塗布します。プライマーには下地とこの後塗る塗料との密着性を上げる、接着剤のような役割があります。
シーリング材で入隅を埋めていきます。入隅は、床と壁の継ぎ目となっているため雨水などが浸入しやすい場所でもあるので、入念に行っています。
シーリング作業が完了しました!
ポリエステル樹脂を丁寧に塗布します。
使用するガラスマットがこちらです。硬化する前はふわふわした素材なのが驚きですね!
樹脂の上から丁寧にガラスマットを敷き詰め、その上からも樹脂を塗布します。
その後に再度樹脂の上から、
ガラスマット→ポリエステル樹脂の工程を行い、ガラスマットを2枚重ねた厚い防水層を作ります。
このガラスマットと樹脂を交互に塗り重ねた防水層が乾くと、強固な防水面が形成されます!
脱泡という作業を行います。
脱泡は、樹脂の内部に残った気泡を除去する作業です。内部に気泡が残ってしまうと、十分な強度が発揮されず劣化の原因にもなってしまうのでとても大切な作業です。丁寧にローラーをかけていきます。
中塗り材を塗布します。こちらも同じく樹脂でできていますが、先程とは違い、保護の役割を持った樹脂を使用しています!
中塗り材が乾いた後は、ガラスマットの繊維などにより凹凸ができた部分にやすりがけをして平らにします。
最後にトップコートを塗布することで、紫外線などの劣化原因から防水層を保護します。
これで、全ての工程が完了です!
FRP防水を行うことで、雨漏りの原因となっていた劣化をなくすことができました。
床面の美観も上がり気持ちがいいですね!
今回ご紹介した施工範囲(約10㎡)での、費用と工期をご紹介します。
※現場の状態・環境によって費用・工期は変化いたしますので、あくまで参考程度にご承知おきください。
また、山陽工業ではお客様にご安心いただけるよう、工事完了後の保証体制も整えております。
工法により期間は異なりますが、FRP防水の場合は5年の保証期間を設けており、万が一保証期間中に漏水事故が発生した場合は、無償で防水層の補修を行います。
※天災地変ならびに故意または過失等施工者の責に帰することが出来ないものが原因である場合は、保証適用外とします。
今回の記事では、強度が非常に強いため歩行頻度の高いベランダやバルコニーに特におすすめなFRP防水についてご紹介しました。
ベランダやバルコニーの防水層の劣化は、家の構造上真下に部屋が位置していない場合でも、床のコンクリートや木に雨が浸み込んで、接している壁や天井からの雨漏りに繋がる可能性があります。
そして、劣化が始まり防水層の内部まで傷む前にメンテナンスを行えば、補修範囲が減り防水工事の費用を抑えることにも繋がります。
雨漏りの阻止だけではなく費用を抑えるためにも、お早目に防水工事(メンテナンス)を行うことをおすすめします!
山陽工業は、年間650件以上の工事を請け負っており、中でも最も多く防水工事のご依頼をいただいております。そんな防水工事のプロだからこそ、施工場所・劣化状況に合わせた 最適な施工方法をご提案させていただきます。
また、山陽工業の防水工事について、山陽工業公式HPの雨漏り修繕工事ページに防水工事の種類・防水工事例などの詳しい情報を掲載しております。是非下記のリンク先をご覧ください!
なお、対応エリアは以下の通りです。
この記事を書いた人 山陽工業 みさと
広報部として現場で色々な知識を得て、皆さんに発信していきます!