「IPH工法」とは、ひび割れの起きてしまったコンクリートに対して、ひび割れ補修のために行う工法です。
また、ひび割れ補修に加え、
「強度回復」「漏水防止」「防錆効果」
も期待できる工法でもあります。
今回は、コンクリート橋裏のひび割れ補修のためにこのIPH工法で施工をしました。このIPH工法の流れについてご紹介します!
「IPH工法ってなんだろう?」とIPH工法について詳しく知りたい方はもちろん、「コンクリートのひび割れを直す工法を知りたい」というお悩みをお持ちの方も必見の記事となっております。
IPH工法は、
Inside(内部)
Pressure(圧力)
Hardening₍硬化₎
の略で、日本語訳は内圧充填接合補強です。
ひび割れを起こしてしまったコンクリート構造物の内部に低圧力で樹脂を注入することで、微細なひび割れまで接合させることのできる特殊な工法です。
また、一般的な注入方法との違いをご説明します。
一般的な注入方法では、ひび割れ内部に入っている空気の反発を受けて、注入樹脂は表層にとどまってしまいます。
ひび割れの表面を埋めているイメージです!
ひび割れ内部に入っている空気を放出させることで負圧にして、樹脂を微細なひび割れにも充填させることができます。この際、注入する樹脂と中の空気が置換して、0.01mmの微細なひび割れまで樹脂をまわすことができます!
水の通り道をしっかりと塞ぐことで、「強度回復」・「漏水防止」・「防錆効果」が期待できます!
今回ご紹介する、ひび割れが起きた施工場所はこちらの橋裏のコンクリートです。
では、補修前のコンクリート橋裏のひび割れ状況をお見せします!
全体的にひび割れが多くかなり老朽化が進んでいます。
この全体のひび割れをIPH工法で補修していきます!
まず、ハケを使用してひび割れ付近を掃除することで、ひび割れを見つけていきます。
また、この際ただのひび割れだけではなく、「エフロレッセンス」も発見されました。
エフロレッセンスとは、目地やひび割れ部分から雨水などがコンクリート内に浸入し、コンクリートに含まれる水酸化カルシウムと混じってひび割れなどがら滲み出し、それが空気中の炭酸ガスと反応すると白く盛り上がったように固まる現象のことです。
そのため、エフロレッセンスはコンクリート内部に浸入してしまった水分によって内部の中性化が進んでいるということになります。
つまり、コンクリート内部が錆びてしまい、構造強度の低下に繋がることが考えられます。
IPH工法では、微細なひび割れにも樹脂を充填させられるので、エフロレッセンスを補修し発生も防ぐことができます!
次に行うのはマーキング作業です。この作業で、先ほど見つけたひび割れ部分に20センチ間隔で印を付けます。この部分にIPH工法の注入作業を行っていきます。
次に穿孔作業を行います。穿孔作業とは穴あけ作業のことで、IPH工法のカプセル注入を行うマーキング箇所に穴をあけています。
こちらが穿孔作業を行ったあとの様子です。
この「穿孔作業」ですが、穴をあけているだけではありません!コンクリートを削りながら先端から水を出すことで、内部の洗浄を行っています。この作業で写真のように、ひび割れに水がまわっていることを確認することができました!
細部まで綺麗にすることで、ひび割れに樹脂がまわりやすくする効果があります!
次に、樹脂を注入するための台座を取り付けます。
台座の取り付けに使用しているグレーの材料は、「剥離シール」というシーリング材です!通常の建物に使用するシーリング材よりも剥がしやすいことが特徴です。
この剝離シールを使用することで、後ほど撤去作業で剥がす際に綺麗に剝がすことができます!
次は樹脂の注入作業です。
では、注入する樹脂を作っていきます。
使用する材料は、こちらの主剤と硬化剤です。
冬は主剤をこのように温めています。
温めることで樹脂が柔らかくなり、ひび割れの細部まで樹脂を行き渡らせることができます!
また、こちらの樹脂には他の樹脂と違った特徴もあります!
それは、湿潤面でもひび割れへの注入が可能なことです。
他の樹脂の場合は、注入するひび割れ内に水が入っていると硬化不良を起こしてしまいます。ですがこちらの樹脂は湿潤面でも硬化が良好で、湿潤面のコンクリートでも接着が可能です。
主剤と硬化剤を、なるべく空気が入らないようにしながら丁寧に混ぜ合わせます。
そして混ぜ合わせてできた樹脂を「ジャバラ」というこちらの容器に詰めました!このジャバラを「IPHカプセル」の中に詰めて注入を行います。
いよいよ樹脂の注入作業を行います!
この樹脂の注入を行っている注射器のようなものが、先ほど中にジャバラを入れた「IPHカプセル」です。
このIPHカプセルの中からひび割れ部分に樹脂がゆっくり注入されていっています。
全体に注入作業が完了しました!
IPHカプセルで樹脂を注入した後、1日置いて樹脂が固まったのを確認して台座とカプセルの撤去作業を行います!
こちらが撤去前のIPHカプセルです。注入前と比べて中が空洞になり、樹脂が注入されてなくなっているのが確認できました。
こちらを撤去していきます!
カプセルを取り、台座も丁寧に剥がしていきます。
最後に、穿孔作業を行った際にあけた穴を塞ぎます。
このように、平らになるようにモルタルで丁寧に塞いでいきます。
補修作業が終了し、表面が平らになりました!
これで施工完了です!
それでは、IPH工法でひび割れ補修を行う施工前と施工後の様子を比べてみましょう!
樹脂注入の際の穴もしっかりと塞がり、ひび割れの補修を行うことができました!
今回の施工では橋裏のコンクリートにIPH工法でひび割れ補修を行いました。
コンクリートの性質上、ひび割れなどの劣化は避けられない問題です。
ですがIPH工法なら、その建物を壊さずに補修を行い建物を長寿命化させることができます。
山陽工業には、IPH工法の施工技能士も数名在籍しております。
そのため、
というお悩みの方も山陽工業に是非お気軽にお問い合わせください!
対応エリアは以下の通りです。
この記事を書いた人 山陽工業 みさと
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