こんな風に、コンクリートに横一直線に長い亀裂のようなものが入った状態、見たことありませんか?
これはただのひび割れではなく、コールドジョイントと呼ばれる現象です。
コールドジョイントに何も対策をせずに放置してしまうと、構造物にとって深刻な劣化を引き起こす可能性があります。
今回の記事では、コールドジョイントについて詳しく解説すると共に、おすすめの補修工法をご紹介します。
1991年の創業より培ってきた技術とノウハウで、年間650件以上の工事を請け負う山陽工業が解説します!
施工・管理しているコンクリート構造物でコールドジョイントが発生してしまい対策に悩んでいる方は、ぜひこの記事をご一読ください!
コールドジョイントとは、コンクリートを打設する際に、先に打設した層と後から打設した層が一体化しなかった場合にできる継ぎ目のことです。
既に硬化してしまったコンクリートの上にコンクリートを重ねても、コンクリートは完全に一体化することはありません。
そのため、先に打設したコンクリートが硬化した上にコンクリートを打設すると、コールドジョイントが発生します。
また、工具の不適切な使用などコンクリート打設時の施工方法の誤りによっても、打ち重ねるコンクリート同士が一体化しないケースがあります。
いずれにしても、コールドジョイントは経年劣化ではなく、コンクリート打設時の初期不良で発生します。
コールドジョイントが建物に及ぼす影響は、主に次の3つが挙げられます。
・強度低下
・中性化
・水密性低下
それぞれ具体的に見ていきましょう。
コンクリート同士が一体化していない状態のため、当然一体化しているコンクリートよりも強度が低いです。
地震などの際に働くせん断力(物体をずらす力)によって、更に強度が低下する恐れもあります。
打設直後のコンクリートは高いアルカリ性の状態です。しかしコールドジョイントが発生していると、その部分から水分や空気が浸入し、コンクリートがアルカリ性を失います。そうして中性に近付くことを「中性化」と言います。
鉄筋周りのコンクリートが中性化すると、鉄筋を腐食から保護している不動態皮膜が壊れ、鉄筋が錆びやすくなってしまいます。
水密性というのは、どれだけ水が浸透しやすいかを表す言葉です。高密度に打設されたコンクリートは通常水を通さない=水密性が高い状態にあります。
しかしコールドジョイントが発生した部分からは、水が内部に浸入しやすい=水密性が低い状態です。前述の中性化や、鉄筋の錆びを引き起こします。
このようにコールドジョイントをそのままにしてしまうと、建物に様々な影響を及ぼし、大切な建物の寿命を縮める要因となりかねません。
目には見えないところで様々な影響が…早めの対策が必要ですね。
コールドジョイントが発生してしまっている場合、どのように補修するのがよいのでしょうか?
コールドジョイントの一般的な補修方法は、症状の度合いによって異なります。
コールドジョイントを境に、コンクリート同士が完全には分離していない(縁切れしていない)場合、軽度な状態と言えます。
軽度な場合は、ポリマーセメントモルタルをはけ塗りして補修します。
コールドジョイントを境に、コンクリート同士が完全に分離している(縁切れしている)場合、重度な状態と言えます。
重度な場合は、Uカット工法で補修を行うのが一般的です。
コールドジョイントの部分をU字にカットします。カットした部分にシーリング材を充填し、ポリマーセメントモルタルで埋め戻す方法です。
これらの補修方法でも、もちろんコールドジョイントは補修されます。
しかし、山陽工業はただ直すだけではなく、そこに付加価値を生み出す『IPH工法』をおすすめします!
山陽工業イチオシのプレミアムな補修工法です!
IPH工法とは、コンクリートの内部(Inside)に樹脂を注入し、加圧状態(Pressure)で硬化(Hardening)させる工法です。
① 微細な空隙にまで樹脂が充填され、強度回復&耐久性向上!
② 鉄筋周りの空隙も樹脂で満たされるので、防錆効果を発揮!
③ 補修の周期が延びるので、ライフサイクルコストの低減!
④ 解体殻が少ないため、時代に合った環境配慮が可能!
特徴や施工手順について詳しく解説していきます。
IPH工法はただ樹脂を注入するのではなく、注入する際にコンクリート内部の空気を抜き取ります。
内部の空気を排出することで負圧の状態を作り出し、高密度・高深度に、0.01mm程度の微細な空隙にまで樹脂を注入することが可能です。
微細な空隙にまで樹脂が満たされることで、コンクリートの圧縮強度及び鉄筋の付着力が回復するため、コンクリートの強度が回復・構造物全体の耐久性が向上し、コンクリート構造物の長寿命化が実現します。
先述の通り0.01mm程度の空隙にまで樹脂を充填することができるため、鉄筋周りの微細な空隙にも樹脂が満たされます。
そのため鉄筋が水や空気に触れにくくなり、防錆効果の向上・中性化の抑制をすることが可能です。
構造物全体の耐久性が向上するため、補修の周期を延ばすことが可能です。つまりライフサイクルコストが低減されます。
また、橋などの構造物にIPH工法を施す際、人や車両の通行を止める必要がありません。供用を妨げずに補修をすることが可能です。
IPH工法は斫り作業が不要なため、通常の補修と比べて解体殻が少ないのも特徴です。
また、樹脂を注入する際のカプセルは繰り返しの使用が可能なため、とても環境に配慮された工法です。
IPH工法は、公共工事・民間工事問わず多数の施工実績がございます。
戸建てのひび割れ・雨漏り補修はもちろんですが、これらの場所のような、大掛かりな工事ができない現場・短期間での工事が必要な現場・簡単に壊すことのできない現場には特におすすめの施工方法です。
上記で挙げた施工について、詳しくは以下の記事でそれぞれご紹介しています。
橋梁のコールドジョイントをIPH工法で補修した際の写真と共に、施工手順をご紹介します。
こちらが施工前の状態です。赤線部分に一直線に亀裂が入っているのがわかります。
まず施工箇所を清掃し、樹脂を注入する位置にマーキングをします。
マーキング箇所を穿孔(穴あけ)し、シーリング材を用いてカプセルを設置するための台座を取り付けます。
次に樹脂の入ったカプセルを台座に設置して、樹脂を注入します。
樹脂の注入が完了したらカプセルを外し、ケレン作業で台座やシーリング材も撤去します。その後左官処理で表面も整えて…
施工完了です。見た目にはわかりませんが、樹脂がコンクリート内部の隅々まで充填され、コンクリートの強度が回復しました。
尚、現場の状況や施工規模により施工にかかる日数は変わってきますが、写真の橋梁では5日程で施工が完了しました。
このときも、もちろん橋の通行は止めずに工事を行いました!
最初にお伝えした通り、コールドジョイントはコンクリート打設時の初期不良で発生してしまいます。
コンクリート打設時に防止対策を講じることが最も重要ですが、コールドジョイントが発生してしまった以上、速やかに補修を行いましょう。
山陽工業では、通常の補修・IPH工法での補修、どちらも実績がございますので、もしコールドジョイントが発生した場合はぜひ一度ご相談くださいませ。
また、IPH工法・コンクリートに関する資格の保有者が在籍しているので、「IPH工法についてもっと詳しく知りたい!」という方は、詳しい資料の送付だけでなく、『IPH工法施工技能士』・『コンクリート診断士』の資格保有者がご説明や調査に伺うことも可能です。
・IPH工法協会という団体が実施する学科・技能技術講習を受講し、試験に合格した者
・IPH工法は、この資格を保有している者しか施工ができない
・日本コンクリート工学会という団体が実施する講習会を受講し、試験に合格した者
・試験の合格率は15%前後と高難易度
・コンクリートの劣化状況を見て、その劣化の原因を診断する知識を持つ
・劣化の原因を原因を診断した上で、どのような工法で補修すべきかを的確に判断できる
調査・御見積は無料で承っておりますので、下部のフォームよりお問い合わせください!
なお、対応エリアは以下の通りです。
また、山陽工業では、穴をあけずにコンクリート内部の密度を解析できる、『トモグラフィ解析』も実施しております。詳しくはこちらの記事でご紹介しています。
この記事を書いた人 山陽工業 みほ
・2015年に山陽工業の管理部として入社
・事務職として建設業の書類作成を極めていましたが、お客様により喜んでいただけるようなご提案ができるよう、現在工事内容についても勉強中!
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