コンクリートの建物の一部が、下の写真のようにボロボロになってしまっているのを見たことはありませんか?
これはコンクリートの劣化症状のひとつであり、「爆裂」(正式名称は「鉄筋爆裂」)と呼ばれています。
爆裂を放置してしまうと、建物の景観を著しく損ねるだけでなく、耐久性の低下による崩落の危険もあるため、早急な補修が必要になります。
今回の記事では、そんなコンクリートの爆裂と、おすすめの補修工事について、詳しくご紹介します。
・壁や天井のコンクリート片がボロボロと剥がれ落ちてきている…
・鉄筋が露出・腐食してしまっている…
コンクリートの建物にこのような現象を発見して不安に思われている方、ぜひご一読ください!
爆裂というと、字面から物騒な印象を持たれるかもしれませんが、爆裂=爆発、ではありません。
爆裂とは、コンクリート内部の鉄筋が、内側からコンクリートを押し出してしまうことを指します。
コンクリートが爆裂するまでの過程を時系列で解説すると、以下のようになります。
コンクリートは乾燥によって収縮し、縦横の両方に力が働くことで、表面にひび割れが発生します。
そうして発生したひび割れから、水分や空気が浸入します。
打設直後のコンクリートは、高いアルカリ性の状態です。
しかし、ひび割れから浸入した水分や空気によって、コンクリートがアルカリ性を失い、鉄筋がサビやすい状態になってしまいます。
これを「コンクリートの中性化」と言います。
コンクリート内部の鉄筋は、「不動態皮膜」と呼ばれる皮膜に覆われていることで、酸化が抑えられています。
しかし、ひび割れから浸入した水分や空気が鉄筋にまで到達することで、酸化してサビが発生してしまいます。
鉄筋にサビが発生すると、体積が2倍以上に膨張してしまいます。
その膨張により、鉄筋周辺のコンクリートが押し出され、爆裂が発生します。
補修工事が必要なのは、冒頭に載せた写真のように鉄筋が露出し、明らかに爆裂が発生している箇所だけではありません。
・表面が膨れている
・鉄筋が腐食している
・表面がひび割れ、内部からサビた水が流れている
このような状態も、内部で爆裂が発生しているまたは爆裂が発生する一歩手前と考えられるため、補修が必要です。
また、コンクリートの剥落による怪我のリスクが高くなる、天井等の高所は特に注意が必要です。
上記で挙げた劣化に加え、小さなひび割れやわずかな膨れを天井等の目線より高い位置で発見したら、できるだけ早く対処することをお勧めします。
ご自身の建物にはこのような劣化箇所がないかどうか、注意深く確認してみてください!
一般的なコンクリートの爆裂補修は、以下の流れで行います。
補修する箇所に漏れがないよう、まずは建物全体を調査します。
斫り(はつり)とは、ハンマー等を使ってコンクリートの脆くなっている部分を削る作業のことです。
叩いて落としていくと、初めは見えなかった鉄筋の場所までたどり着くことがあります。
サビが少しでも残っているとサビが再発してしまう恐れがあるので、すべて綺麗に削り落とします。
プライマーを塗布した後、樹脂モルタルやポリマーセメントモルタルで爆裂箇所を埋め戻し、成形します。
爆裂の再発がないよう、プライマーは、サビ止めの成分が含まれているものを使用します。
樹脂モルタルやポリマーセメントモルタルを硬化・乾燥させて、補修完了です。
先述した通り、コンクリートの爆裂は、表面のひび割れから劣化が進行して発生します。つまり、爆裂を防ぐには、ひび割れを補修することが最も重要なのです。
しかしコンクリートに発生するひび割れの中には、目に見えないほど小さく、発見するのが困難なものも存在します。
そして、そのような「見落とされがちなひび割れ」でも、補修を行わない限り劣化が進み、建物自体の安全性・耐久性を損ねてしまいます。
小さなひび割れに気づかず、目に見えるひび割れだけを補修しても、雨漏りが止まらない…という話も、実際に少なくありません。
そこで山陽工業がおすすめしているのが、「IPH工法」と呼ばれる特殊な工法です。
IPH工法とは、コンクリートの内部(Inside)に樹脂を注入し、加圧状態(Pressure)で硬化(Hardening)させる工法です。
工程についてはこちらの記事で詳しくご紹介しています。
イメージ動画もありますのでご覧ください。
そんなIPH工法がコンクリートのひび割れ補修・爆裂防止に最適な理由は大きく分けて2つあります。
IPH工法は、0.01mm程度の目に見えない空隙(ひび割れ)にも樹脂を注入することが可能です。通常の補修工事では埋められないコンクリートの隙間も樹脂で満たすことができるため、ひび割れによる爆裂や水漏れの再発を防止する高い効果が期待できます。
IPH工法は、コンクリートの表面だけでなく、内部にある鉄筋周辺に発生した空隙にまで樹脂を注入することができます。
その結果、鉄筋が空気に触れなくなるため、鉄筋のサビを防止=中性化や爆裂等、コンクリートの劣化を防ぐことができます。
IPH工法は、通常の補修工事と比較するとどうしても費用が高くなってしまいますが、得られる効果も非常に高い、画期的な工法です。
先述した、コンクリートの剥落による怪我のリスクが高い天井等には、爆裂の発生や再発を防止する効果も期待できるIPH工法が特におすすめです。
一度の施工でずっと安心できるIPH工法。「天井にのみ施工」等、建物の一部分だけでも承っておりますので、ぜひご検討ください!
実際に爆裂が発生していた箇所にIPH工法を施工した事例をご紹介します。
施工したのは、天井部分で爆裂が多数発生してしまっていた、関東のとある橋です。
コンクリートの剥落によって橋を通行する車両の荷重に耐えられなくなるリスクを考慮して、「せっかく直すなら、爆裂の再発や新たな爆裂の発生の可能性を無くしてほしい」とのご依頼を受け、IPH工法が最適だと判断しました。
爆裂が発生してしまっている箇所には、先述した手順で通常の補修工事を行いました。その後、爆裂の再発・発生を防止するために、天井全体にIPH工法を施工しました。
見た目の美しさはもちろん、内部までしっかり補強され、毎日たくさんの車や人が通る橋の安全性を高めることができました。
発注者様からも、「何度も工事を行うと、都度通行止めが必要になる等、橋を利用する方々への負担も発生してしまうため、一度の工事でしっかり補修してもらえて良かった」と、大変ありがたいお言葉をいただきました。
山陽工業には、コンクリートに関する知識が豊富な「コンクリート診断士」の資格を保有する現場監督が在籍しています。
コンクリート診断士とはその名の通り、コンクリートの劣化状況を見てその劣化の原因を診断する知識を持つ、言うなればコンクリートのプロです。
この劣化は何が原因で発生したのか?
原因を診断した上で、どのように補修すべきか?
専門業者でも判断が困難なことがあるこのような疑問も、コンクリート診断士なら的確に判断することが可能です!
今回の記事でご紹介したIPH工法をはじめ、それぞれの劣化状況に合った最適な補修方法をご提案させていただきます。
コンクリートの補修工事に関するご相談はもちろん、IPH工法についてのご相談だけでも大歓迎です。まずはお気軽にお問合せください!
なお、対応エリアは以下の通りです。
IPH工法については、こちらのページで詳しくご紹介しています。
また、こちらの記事(水漏れ補修)では、IPH工法で雨漏り修理を行った事例について詳しくご紹介しています。併せてご覧ください。
この記事を書いた人 山陽工業 かおり
・山陽工業で働く1児の母(2015年入社)
・「こんなこともやっているんだ!」と知っていただける、比較的小規模な工事や少し特殊な工事についての記事を主に投稿します。
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