経年劣化により剥がれやすくなったタイルは、放置しておくと屋上の防水性能をどんどん下げてしまいます…。
実被害が出てからでは遅いということで、こちらの建物では古いタイルを剥がして、新しくシート防水工事を実施しました。
本記事ではシート防水が選ばれた理由や、屋上がタイルからシートに移り変わるまでの過程をご紹介します。
タイル張りの建物にお住まい・お持ちの戸建ての家主様やマンション・アパートのオーナー様、管理組合の皆様がいらっしゃいましたら、特に参考になるかと思います!
床面と、床面から立ち上がっている部分まで、見渡す限りタイルに覆われた屋上です。
モルタルによって張りつけられていますが、そろそろ耐久性の寿命が近いようです。
ちょっとした衝撃を加えるだけで、タイルが簡単に剥がれてしまう箇所があります。
今のこの屋上は、雨水や衝撃といった外的要因から建物を守る力が圧倒的に不足しています。
このままでは、床面のタイルの下にも多くの水が染み込んでしまい、雨漏りを引き起こす可能性があります。
そこで、シート防水による新しい防水層を作り、屋上の性能を復活させましょう!
(1)屋上のタイルを全て剥がす
新しい防水層を作るため、既存の古いタイルは全て剥がしていきます。
劣化したタイルだけ張り替えるという方法もありますが、そうすると多くの枚数を交換しなければならないため、結果的に金額が高くなってしまいます。
タイルの交換費用は、その建物の劣化状況によって変動しますので、「仕様は変えたくない!タイルのままが良い!」というお客様は、シート防水やウレタン防水などの他の防水工法より、高いのか安いのか比較してみるのをオススメします!
床面から立ち上がった部分、こちらの白いタイルも撤去していきます。
合わせて、伸縮目地も撤去します。
全てのタイルを剥がし終えました!
(2)粗い表面を左官で平らにする
タイルを剥がし終わると、接着の跡による凹凸が目立つようになります。
この上からいきなり防水シートを張ったとしても、隙間だらけになって、すぐに水が浸入してしまいます。
ですので次は、このデコボコした床面と同じ素材である「モルタル」を塗ることで、屋上の表面を平らに仕上げていきます。
手作業で行うこの工程は、職人の経験と技術が仕上がりに直結します。
このタイミングで、目地にも新しいシーリング防水を施します。
左官作業が完了すると、くっきりと見えていた凹凸の跡が無くなり、綺麗な平面になりました!
(3)シート防水を行う
下地の状態が整えられたら、いよいよシート防水の工程に入っていきます!
シート防水は、名前の通り「シートを張る」ことで防水性能を発揮する工事方法です。
とりわけ、今回のような屋上の下地の中に既に水分が浸入してしまっている建物において、特徴を発揮します。
工法の一つである「機械固定工法」というやり方を用いれば、シートと施工箇所の間に水蒸気を逃すための隙間ができるため、膨れなどの劣化が発生しにくくなるのです。
最初に仕上げ用の防水シートとは別の、通気性を確保するためのシートを敷きます。
そうしてシートの縁や排水口周りに、鋼板やプレートを取り付けます。
次に、円盤状の中央に穴が空いたディスクを、等間隔に並べてボルトで固定していきます。
このディスクが機械固定工法のポイントであり、防水シートを圧着するための、接着剤のような役割を果たします!
ディスクの上から、仕上げのための防水シートを敷きます。
シート同士の継ぎ目をしっかり溶着して、
最後に先程取り付けたディスク状の金具を、防水シートの上から加熱していきます。
この装置はシートを傷つけることなく、金属製の金具だけを加熱してくれます。加熱器具とディスクに挟まれたシート部分が熱で溶けることで防水シートが接着されるのです!
立ち上がり部分も、手のひらで押しにくい分、ローラーを活用して圧着していきます。
屋上と外壁を跨ぐ出張った部分(笠木)は、塗装による作業の方が適しているということでウレタン防水を施しました。
(4)工事完了!
工事前と比べると屋上の印象が大きく変化しました!
シート防水の費用は、メーカー設計価格 平面部¥12,100/㎡~です。
※現場の状態・環境によって上記数字は変化します。あくまでも参考価格としてご承知下さいますようお願い致します。
同じく汎用性の高いウレタン防水と比較するとやや高額ですが、仕上がりの見た目はとても綺麗で、耐久性も優れています!
防水工事にはいくつか種類があり、同じ種類の中でもさらに工法が分かれます。
お客様のお住まい・お持ちになられている建物には、どのような工法による工事が適しているのか、お問い合わせいただければ弊社の社員が無料で調査&お見積もりに伺います。
「工事を実施しようかどうか迷っている」
「分からないことがあるので相談に乗ってもらいたい」
といった方がいらっしゃれば、山陽工業までお気軽にご相談ください!
なお、対応エリアは以下の通りです。
この記事を書いた人 山陽工業 よーこちゃん
・山陽工業に入社して3年目の広報社員。
・たくさんの現場を巡って、日々様々な知識と写真を集めています。
・施工管理に長けた工事監督さん、この道何十年の熟練職人さんの方々に取材を行い、建物の修繕・改修に関する情報を発信していきます。